続・せっかくなので防災チェック(備品編)
防災チェック第2弾です。
先ほどは主に考え方の整理をしましたが、こちらはより具体的に物品チェックをします。
防災備品とは
さて防災備品をチェックしていきますが、備品の種別を俯瞰するとこんな感じになります。
- 食品:水、主食類、調味料など
- 生活用品:救急箱、トイレ用品、ポリ袋など
- 防災ツール:モバイルバッテリー、多機能ナイフなど
曲がりなりにも、これらをもって生活しようということなので、考えてみると色々あります。大変ですね。
とりあえず避難セット
大変なので、まずは避難セットを買って最低限のベースを整えておきましょう。
このあと個別に考える食品や生活用品はどちらかといえば在宅避難向けなので、避難所に行くことを考える場合にもひとつまとまっていたほうがよいです。
Amazonでもなんでも、探せばすぐ出てくるので何か適当なものを選んでおくといいでしょう。この手の商品は基本的に値段相応なので、1人あたり1.5万円を目安に選ぶのが無難そうです。
また、当たり前ですがこういった防災が社会的に注目されると向こう1ヶ月くらい品薄&値上りするのが通例なので、持ってなければ来月くらいに忘れず買っておいてください。
それでも忘れるのが人間なので、昨日の例であれば「揺れている最中にポチる」くらいの気概があってもいいかもしれません。(ただし大したことない揺れに限る)
はて緊急避難期間の読みは?
ここからは在宅避難を念頭に、必要な備品を考えていきますが、悩ましいのが「どれくらいの備蓄をするか」ということです。
水なんかは「1人あたり、1日3リットル」と言われますが、家族4人だとした場合には1日12リットル、3日で36リットルということになります。2Lペットボトルで18本、なかなかですね。
なので、際限なく備蓄するわけにもいかないので、物流などが復旧するまで備蓄備品に頼らざるを得ない "緊急" 避難期間を読まなければなりません。
災害時活動困難度
そうした緊急避難期間の読みについては、「どれくらいで助けがくるか」ということが一つの目安になります。
結論から言って、緊急避難期間は「3日」だとされることが多いです。
これは、一般的な災害救助活動が72時間を目標に尽くされることが多く、「見つけてもらうまでの72時間は自力で生きていられる必要がある」ためです。
さらに言えば、捜索まで72時間かかるところは稀で、以下に引用するような災害時活動困難度のレベルが高いところでもなければ、3日もいらないところがほとんどだと思います。
「災害時活動困難」の基本的な考え方は、
- 基幹道路(幅員6m以上)が少ない
- 道路(幅員4m以上)が少ない
- 公園等の活動拠点が少ない
ことによります。
道路がなければ災害救助車がそもそも入ってこれませんし、活動拠点がなければ活動展開も難しくなります。
東京都の例では道路が少ない山間部に加えて、住宅密集地も活動困難に分類されていることがわかります。
活動困難度が測定・評価されている自治体は多くないと思いますが、考え方はどこでも同じなので、「家の前に消防車が停まれるか?」のようなイメージで考えてみて、3日をベースに増減させるとよいでしょう。(とはいえ変に減らす必要はないと思いますが...)
インフラ復旧の優先度
また、制約の多い緊急避難生活をイメージする上では、インフラ復旧の優先度を知っておくとよいでしょう。
一般に、ライフラインとしての重要性や、構造的な復旧容易性から
飲用水の供給 > 電気 > 水道 > ガス
の順で復旧が進むとされます。まさにいのちだいじに、ですね。
実績を踏まえた復旧目安としては、電気がおおよそ1週間で復旧することに対し、水道は2-3週間、ガスに至っては1ヶ月以上かかるケースも珍しくないようです。
ライフラインで見るとガスが一番遅いわけなので、「長期間お風呂に入れないことになる」のを念頭においておくと、準備するものも変わってくると思います。
食品
さて実際に備蓄品を考えていきます。食品から。
食品において大事なのはやはり水と主食です。最悪水があれば1週間ほど大丈夫...だと言われますし。
水
ではまずは水です。
先ほども触れたように「1人あたり1日3リットル」を目安に「3日」分の水を用意しておきましょう。
基本的には命を繋ぐ水分ということなので、お茶でもいいですがレトルト食品に使えたりもするので、水のほうが汎用性が高いと言えます。
最近こういうラベルレスボトル出てきましたね。日常的に使っても処理が楽です。
ちなみに、水にも一応消費期限があります。年レベルですが。
じゃあ消費期限過ぎたらどうなるのか、お腹壊すのかと言われると多くの場合そうではないことが多いです。
食品コンサルタントの冨岡伸一さんは「ペットボトルの水は、ほとんどが加熱や濾過(ろか)によって雑菌などを取り除いている。雑菌がない水は何年たっても腐らない。適正に保存され未開封の状態ならば、賞味期限をかなり過ぎたものでも安全性に問題ありません」と話す。
中には殺菌処理をしていない水もあって、容器に「殺(除)菌していません」と書いてある。これは、期限が過ぎると雑菌が増えるなどして飲めない場合もあるが、たいていのペットボトルの水は雑菌が取り除かれ、「何年たっても腐らない」。
ということで、未開封では健康上影響にならないことが多いと言われています。
ペットボトルの水が「何年たっても腐らない」なら、いっそ賞味期限を「無期限」にしてはどうか。
「いや、水の賞味期限は、表示された容量が確保できる期限です」
こう話すのは日本ミネラルウォーター協会の渡辺健介事務局長だ。
食品は、食品事業者が科学的・合理的な根拠に基づいて賞味期限を設定している。一方、計量法の規定に基づいて内容量を表示する決まりもある。
ペットボトルの容器は、通気性がある。すると、水が少しずつ蒸発する。つまり、時間の経過とともに減るのだが、表示と実際の容量が許容の誤差を超えた商品を「販売する」と計量法違反になる。
100年放置すると目減りしたり無くなったりしますが、そのときクレームにならないように一応の期限を設けているってことのようです。
このあたりからも、防災視点では水のほうが何かと都合がよさそうなので、日常使いしないのであれば水を備蓄しておくのがよいでしょう。
食品
水があるなら次は食品です。
典型的には乾パンですが、これで数日過ごすというのもなかなか味気ないところです。
もう一息背伸びしてカロリーメイトとか、あるいは水だけで常温調理できるものを探し求めてもいいでしょう。(もちろん、お金はかさみます)
このあたりの調理レベルとしては、
- 水なし
- 水あり
- お湯あり
の3レベルがありますので、それぞれで考えてみるとそれなりに広がりがあります。
カセットコンロを備品に加えておけばお湯は使えるので、どの程度を目指すかというところですね。
具体的なおすすめはいくらでもそういう記事があるので割愛します。夢がありますね。
生活用品
続いては生活用品です。
とりあえずののどの渇きや飢えをしのいだら、あとは落ち着いて過ごすだけですが、トイレとお風呂の対策は必要になります。
また、忘れてはいけないのが地震直後にケガをしている場合もあるので、最低限止血ができるような救急セットは持っておくと心強いです。
ただ、止血自体は布状のものでいくらでも代替が効くので応急処置を学んでおくとよいです。大体防災マニュアルの付録みたいな感じで載っていることが多いです。
救急セット
救急セットと言ったものの、冒頭で紹介した避難セットに最低限は入っているので、避難セットがあるのであればさほど気にすることはありません。
むしろ主眼に置くべきなのは物流が途絶えているであろう数日~数週間で特に必要になる医薬品の類なので、そのあたりはライフスタイルを再点検して備蓄しておくとよいでしょう。
トイレ
考えてみると恐ろしいのが「数日間水が出ない」という状況です。
お風呂はまぁガマンでなんとかなりはしますが、トイレだけはなんともなりません。
なので、在宅避難を考える場合には、非常用トイレは避けて通れないところです。
パッケージ画像にあるように、基本的な構造は洋式トイレに袋をかぶせるようにして、袋ごと捨てるというものです。単なる袋と違うのは吸水シートと凝固剤が入っていることで、ゴミとして扱いやすい点ですね。
極論すれば、大きめのゴミ袋でも代用は可能ですが、吸水や凝固がない分、誤って袋に穴が開いたりすると悲惨と言うほかはありません。買いましょう。
それにしたって、大きなゴミ袋は何かと役に立つのでとりあえず備蓄しておくことをオススメします。
お風呂
トイレに比べればまだ緊急度は低いものの、やはり体が汚いというのはそれなりのストレス源となるので精神衛生上よろしくないです。
基本的には体拭きシートを活用していきますが、髪の毛はシートではどうにもならないので水なしシャンプーなどを考えます。
このあたりは香りの好みなんかもありそうですが、まぁどこまでこだわるかは人それぞれですね。
その他日用品
これら以外で特に...というものはそこまでないのですが、ライフラインが止まっていることから冬であれば防寒着の類は必要ですし、食事で水が自由に使えないことから、使い捨て食器なんかも必要になるでしょう。
このあたりは普段の生活との差分として現れてくるため、
- 季節もの:季節に応じて必要なものがないか
- 曜日もの:曜日に応じて必要なものはないか
- 時間もの:時間に応じて必要なものはないか
という観点で、避難生活をシミュレーションしてみると色々見つかりそうです。
防災ツール
最後に、防災ツールです。
このカテゴリは、生命の維持や最低限の生活に必要ではありませんが、あると便利というタイプのものです。
代表的なものとして、
- 多機能ナイフ
- カセットコンロ
- モバイルバッテリー
- 手回しラジオ
などがあるでしょう。
多機能ナイフ
とりあえず持っておこう的なものがこれです。
避難所生活なら確かにというところ、在宅避難であれば不要では?と思ったりもしますが、避難生活は普段思いもしなかったものが必要になったりするので、こういったなんでもツールは意外と重宝することが多いです。
(普段缶詰食べない人が非常用缶詰開けられなくて泣くみたいな話も...涙)
かさばるものでもないので、避難セットに1本忍ばせておくとよいでしょう。
カセットコンロ
食品のところでも触れましたが、なんだかんだ火が使えると食事の幅は格段に広がります。
お湯があるならカップ麺が食べられますし、お湯で戻すタイプの雑炊なんかも食べられます。
「温かいごはん」というのは精神衛生上大事なものですし、ボンベ1本で結構使えるので保管スペースの割にパフォーマンスは高いと思います。
最近のガスコンロってほんと薄くなりましたよね。なぜ昔はあんなに厚かったのか...。
モバイルバッテリー
あとは最後にモバイルバッテリーです。
なんだかんだ現代ではスマホが災害時の必須ツールと言っても過言ではありません。
万が一の際に自分の位置を知らせることにも繋がりますし、災害情報の収集にも適しています。
一方で、スマホ最大の弱点がバッテリーです。
バッテリーの切れたスマホなんてカップ麺の重しくらいにしかならないので、バッテリーをいかに確保するかが重要です。
最近のモバイルバッテリーは大容量化してきたので、小さくてもスマホ2回分くらいは充電できたりもしますが、他にやることがない状況で3日間耐えるのもなかなか厳しいので、もう少し備蓄しておきたいものです。
そんなときに心強いのが大容量のモバイルバッテリーで、普通のモバイルバッテリーが10000mAh程度の容量であることに対し、50000mAhとか100000mAhという容量のものも最近は普通に発売されています。相場感としては10000mAhあたり5000円くらいです。
こうした大容量タイプの特徴は、フロントパネルを見てわかるようにコンセントがついているという点です。
もちろん、高出力なわけではないのでなんでも動かせるわけではないですが、夏場などは扇風機などを動かせるわけなのでかなり心強いでしょう。
さらに言えば、こういったモバイルバッテリーを充電できるソーラーパネルも最近は安価に売っているので、それもセットで買っておくとベストです。
太陽光だけで大容量モバイルバッテリー100%充電するのはなかなか骨が折れますが、スマホくらいなら十分太刀打ちできるくらいの出力が得られます。
「電源のないところで電気を使う」って発想ではキャンプなどが似ていますので、そっち方面のレビューを眺めているといいものが見つかるかもしれません。
ちなみにキャンプなんかでも言われますが、最強のモバイルバッテリーは車です。余裕があれば買ってもいいんじゃないでしょうか(白目)
手回しラジオ
最後に、地味にレトロなアイテム、ソニーの手回しラジオです。ああかわいい(病気)
見てわかる通り、本体のハンドルをクルクルまわすと充電ができ、ラジオはもちろん懐中電灯や卓上ライトとして使えるかわいいやつです。
あとは、それなりに頑張りが必要ですが、こいつをモバイルバッテリーとして出力させることもできるので、モバイルバッテリーが尽き、そしてあいにくの曇り空だった場合には、己の肉体で電力を生み出すという脳筋パワープレイができます。
どれくらい充電できるかというと、1秒間に2回転の速さで1分間充電すると、
- FMラジオ:50分
- AMラジオ:75分
- ライト:15分
使えるようになるようです。結構いけると思いません?
(対スマホの場合、手回し1分で待ち受け1分みたいな自転車操業レベルになるようです...笑)
ちなみに、手回しに疲れた場合は単三乾電池でも動きます。
災害時の情報源として未だにラジオは無視できないものがありますし、エンターテインメントとしてラジオを聴くのもアリだと思うので、とりあえず持っておくといいアイテムかなと思っています。あとなぜか非常用の笛も入っているのでなおオトク。
まとめ
こうして改めて考えてみると、色々と必要なんだなということがわかります。
こういった災害が起こるたびにチェックするようにしていますが、いつ自分が被災するかはわからないので、定期的に思い出して防災レベルを維持するように努めたいところです。
お読みいただきありがとうございました!
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