たくなくの雑記帳

思ったことを書き留める雑記帳

2050年の世界ってどんなのだろう⑥:これからのエネルギー事情と核融合発電

6回目になりました。前回はこちら。

今回は核融合発電はじめ、これからのエネルギー事情を考えます。

エネルギー基本計画

経済産業省の中に、資源エネルギー庁なる組織がありますが、そこが主管しているトピックの中に「エネルギー基本計画」なるものがあります。

経済活動のためには安定的なエネルギー供給が欠かせませんから、経済産業省がエネルギー計画に気を配るのは当然のことと言えます。

第5次エネルギー基本計画

現在公表されている最新の計画が2018年7月に決定された第5次エネルギー基本計画です。

主な内容については官公庁あるあるの曼荼羅スライドがセットで公表されていますのでそれでよくわかります。

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引用:新しいエネルギー基本計画の構成(経済産業省) より

全3章から構成されていますが、

  • 第1章 構造的課題と情勢変化、政策の時間軸
  • 第2章 2030年に向けた基本的な方針と政策対応
  • 第3章 2050年に向けたエネルギー転換・脱炭素化への挑戦

となっています。
これも他のものと同様に、まず現状と課題感の認識からスタートし、その延長線上でやるべきことを提言するようなスタイルになっています。

第1章で述べているように、基本的なテーマとしては

  • 電力需要への対応
  • エネルギー自給率の強化
  • ゼロ・カーボンへの取り組み

に立脚したストーリーとなっていますね。

1点目の電力需要対応は経済基盤を考えれば当然で、「国としてエネルギーが足りないから経済が動かせません!」みたいなことを避けるべく、まずは着実なエネルギー基盤を維持しようという話です。
このあたりは東日本大震災を受けた脱原発の流れとも絡み、一筋縄ではいかないような情勢が続いていますね。

2点目の自給率はそうしたエネルギー基盤を支える燃料や装置がどうしても外国依存となっている現状にリスクを感じてのこととなっています。
極端ですが、太平洋戦争における日本は燃料を求めて南下していたなんて話もあるので、エネルギー基盤を外部に依存するのはやはりリスクのある話です。

3点目は特に最近動きが加速してきましたが、2030年で46%のCO2削減など、国際社会の一員であり続けるためにはゼロ・カーボンへの取り組みもいよいよ無視できない内容となってきたところです。

長期エネルギー需給見通し

エネルギー基本計画の前提資料となっているものに、長期エネルギー需給見通しがあります。

現状認識のパートに自給率の国別マッピングがありますが、いかに低い自給率であるかがわかるでしょう。

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引用:長期エネルギー需給見通しについて 関連資料 より

他にも需要の見通しなども記載がありますが、ただ伸びていくだけではなく、並行して省エネに取り組むことで需要増を緩やかにしていこうという話も出てきます。

 

2030年のエネルギーソース

そんな長期エネルギー需給見通しに2030年のエネルギー(電源)構成が記載れていますが、2030年はまだ現状の延長線ということであまり大きな違いはないと見られています。

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引用:長期エネルギー需給見通しについて 関連資料 より

大きな差分としては、石油がなくなってそれらがほぼ再生エネルギーになるというところですね。
内訳としては水力が最も多いですが、日本でダムの新設は難しいと思いますので、やはり太陽光と風力あたりがポイントになっているんでしょう。

風力に関しては海に囲まれた日本における洋上風力発電のポテンシャルはかなりのものだと思いますが、2030年時点でもまだそこまで存在感のない状況のようです。

究極のエネルギーソース

そこからさらに未来に目を向けると、実用化までまだまだな領域ですが、そこには究極のエネルギーソースである核融合発電のロードマップが目に入ってきます。

ビジネス以前の、基礎研究フェーズということで文部科学省の領域になりますが、核融合科学技術委員会なるところがロードマップを公表しています。

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引用:原型炉研究開発ロードマップについて(一次まとめ) より

ちょっと独特で見づらいですが、縦軸が活動別で、横軸が時間の流れになっています。

各活動の内容は割愛すると、ぱっと見てデカイ赤丸があるのが分かるように、2035年が基礎研究としてのゴールになります。
いわゆる核融合発電の仕組みを実証し、あとは大きく作れば商用化していけるよという地点ですが、それが2035年に確認できるよう様々な計画が動いているという内容です。

その先、具体的な商用稼働は2050年頃だと言われていますが、実用化の目処を確認できるのは意外ともうすぐ(?)と言えますね。

個人的に、死ぬまでに見てみたい科学技術の1つに核融合発電があったんですが、長生きしなくても実用化に立ち会えそうなのでワクワクしているところです。

 

2050年グリーン成長戦略

こうしたエネルギー戦略のうち、最も新しく公表されたものが2020年12月のグリーン成長戦略です。

基本的な文脈としてはゼロ・カーボンの流れにありますが、タイトルにあるように2050年を明確に意識した計画として色々と見どころがあります。

こちらはメインブログで言及していますのでそちらも見てみてください。

この中で言及されているのが14トピックに及んでおり、読み応えがあります。

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引用:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 より

色々書かれてはいますが、トピックごとのフェーズ感に結構差があったりもします。

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引用:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 より

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引用:2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略 より

詳しい内容はさておき、全体の色彩感を見てほしいんですが、洋上風力発電においては「導入拡大・コスト削減フェーズ」にあたるオレンジが多く見られますが、原子力についてはそれより前の青いフェーズがほとんどとなっています。

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引用:

足元の省エネ等で現在の延長として削減を進めるのはもちろんですが、最終的に2050年に実質ゼロを目指すわけなので、2030-2050年における技術開発と実用化が肝になってくるわけですね。

この頃には、自動車の動力源もEVになっていたり、自動運転がすっかり実用化されていると思われますので、ずいぶん世界の見え方は変わっているんでしょうね。楽しみです。

まとめ

なんとなく始めた2050年シリーズですが、まさか6回も書くとは思っていませんでした。調べると色々出てきますね。

私たち個人の視点でも、スマホをはじめどんどん生活は便利になっていきますが、そうした便利さを支える大前提となるのがこうしたエネルギーです。
エネルギーもタダではないと言いつつも、核融合発電が実用化されれば、これまで人類が追い求めてきたエネルギーソースとは別次元のレベルに達するわけなので、そうした豊富なエネルギーの中で一体どういう生活ができるのか、楽しみですね。

さて、そんなこんなで色々書きすぎて頭がスッキリしないので、次回でここまでの6回を振り返りつつぼんやりと2050年を妄想したいと思います。

 

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