たくなくの雑記帳

思ったことを書き留める雑記帳

SFエンタメ3本立て

昨日はなんとなくSFを堪能したのでその感想でも。

SFの良さをふと感じた

金曜にこのところちまちま読んでた、「三体」というSF小説を読み切りました。

このタイミングで買ったものなので、ダラダラと1ヶ月かけて読んでたことになります。

 

読みきった感想ですが、いやぁ、たいへんに面白かったです。
小説あるあるではありますが、およそ半分くらいは世界観に慣れるための説明描写みたいなもので、物語の展開などが非常に緩やかだったり、何人かの視点で語られるストーリーの関係性が認識しづらかったりと、微妙な気持ちで読み進めていましたが6割くらい進んだところからは一気に面白さが増し、そこからはあっという間に読み終わりました。

読み始めた頃はあまりSF小説という認識はなかったのですが、読み終えた今考えれば紛うことなきSF小説だとはっきり感じます。

そんなこともあり、自分の中でのSF熱が上がっていて、その流れで2本のSF映画を見たのでその感想です。

がっつりネタバレしたい意図はないですが、面白かった感想を述べるにはそうせざるを得ない部分が多分にありますので、ネタバレが気になる方は以降ご遠慮ください🙇‍♂️

 

[小説] 三体

それではまず小説の三体からです。

三体は中国のSF小説で、2006年に中国語で連載されたものがはじまりです。
中国国内での人気はもちろん、2014年に英訳されたことがきっかけになり、今や20ヶ国語以上に翻訳されているそうです。

この物語はこの本以外にも、三体Ⅱ/Ⅲと続編があり、それらを含めて三体Ⅲ部作とまとめられているので、僕はまだその序の口に立っているに過ぎない感じです。
分量的にも三体Ⅰは全体の1/3よりも少ないくらいだそうなので、まだまだ楽しめるようです。

よくわからないはじまり

商品説明にある通りですが、この本のはじまりは中国の文化大革命期の混乱からはじまります。

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート女性科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。 

文化大革命自体は史実の位置付けをほぼそのままに受け入れているようなので、現実の1960-70年代の描写にあたります。

とはいえ、物語の舞台はそこから30年ほど経った現代ですので、どうして冒頭にセンシティブなこの描写を入れているんだろう?と不思議に思いました。

謎のVRゲーム「三体」

そうした奇妙なはじまりを横に置き、主人公(と現時点で思っている男)の視点で物語が展開します。その中で、よくわからないゲームが出てくるのですが、それが小説名と同じ「三体」というゲームです。

「三体」はいわゆるVRゲームで、読んでいくと3個の太陽が存在する世界において、その軌道予測が難しいために興亡を繰り返す文明をシミュレーションするような内容になっています。
この「起動予測が難しい」ということが、いわゆる三体問題を表していることはわかったのですが、これまたなぜ三体問題?という気持ちがありました。

三体問題をモチーフとするゲームはそれはそれで面白そうだなと思ったんですけどね。

謎の組織、世界三体協会

途中でゲーム「三体」の描写が中心的になりますが、その後ゲームをある程度クリアするとそこから「クリアおめでとう!聡明な君をオフ会に招待しちゃうよ!」みたいな話になります。

ここが大体三体Ⅰの6割くらいの位置にあり、ここから急激に、かつ面白く物語が展開してくるところです。

 

オフ会に行ってみると、そこは世界三体協会とかいう謎の組織の集会になっていて、世界にも支部が複数あるなど、大規模な組織であることがわかります。
確かに、三体ゲームの時点で「こんな高度で商業的に成功しなさそうなゲームを作る人なんているのか?」と思っていたので、そこには説明がついた感じになりました。

三体とは

ここでようやくこの小説の主題となる三体が何だったかが明らかになり、それがαケンタウリに実在する3つの恒星であることがわかります。なるほど。

要するに、三体ゲームで描かれていた三体問題の世界はαケンタウリにおいて実際に起こっていた史実の啓蒙になっていて、世界三体協会はαケンタウリにおける知的生命体と交信できる存在だったという話でした。

 

さらに、文化大革命の混乱が世界三体協会の中心人物が持つ諦めのような思想に繋がっていることが示され、ちゃんと伏線になっていたことも見えてきます。

色々なことが繋がるスッキリ感

映画なんかでもそうですが、こういったSFではどうしても設定やストーリーに無理が出ることがあります。
もちろんScience FictionでSFなので、現実味がないのは承知の上ですが、物語の導入に必要な前提は少ないほうがよいと思います。

そんな中で、この三体が前提としているものは結構少なく、αケンタウリに知的生命体がいるとか、量子力学の応用で超 "光速" 通信ができるとか、そういった科学的に否定しきれていない部分を巧妙に仮定しています。

そういった前提を置いたとき、「地球外生命体とコンタクトが取れたらどうなるか?」ということを緻密にシミュレーションしているような物語で、一見した非現実感が仮定以外の部分では次々に整合していくスッキリ感が読んでいて爽快でした。

普通の小説ではこうしたスッキリが得られる頃には物語が終わっていて、「あー、もっと読んでいたかったなー」と思うことが多いですが、三体に関してはまだ2部も、それも既に読んだ以上の分量で残っているというから驚きです。

またこれから三体Ⅱを読み進めていきますが、この物語がどうなっていくのか、楽しみです。

[映画] トゥモロー・ウォー

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7月2日に配信開始になったばかり

そんな風に、三体でSFだとか、地球外生命体などの興味が高まっていたところに、テレビCMでとあるAmazon Originalの映画を目にしました。

ほうほう。

Amazon Originalは俳優こそピンとこないことが多いですが、作りはしっかりしていて面白いのでこれはちょうどいいと思って見てみることにしました。

過去から未来を助ける

ストーリー的に面白いなと思ったのが、未来から子孫たちがやってきて、過去に向かって助けを求めているところです。こういうのは大抵未来のほうが過去を変えに来る感じなので、この設定はなかなか斬新だなと思いました。

一応話としては、2048年にロシアからはじまったエイリアンの侵略により世界人口が3年で50万人を切る程度になってしまったという設定ですが、なかなか急激な感じですね。

 

過去にきてるんだからもっと色々できるでしょと思わなくもないものの、このタイムマシンの設定では「その点からピッタリ30年前にしか安定的に行き来できない」ような水準のもので、未来と過去の時間が同じように流れながら行ったり来たりしている設定になっており、これはこれで筋が通っているなと思いました。

とはいえ設定の甘さが目立つ

しかし、直前に堪能してたのが三体だったからというのもありますが、どうしても設定の甘さが気になってしまいました。

圧倒的な繁殖力と、個体としての強さを前提にするとしても、3年で50万人ってどういう侵攻なのかって話は気になりますし、やはりそもそも「過去から未来を助けよう」という世論が形成されることにかなり違和感がありました。

軍からだけでなく民間からの徴兵もして派兵しているので、もっと踏むべき段階があるだろうっていう気持ちと、現実だったら助けにいくことよりも、これから起こる脅威にどう備えるかということのほうが世論的には傾きやすそうな気が...。

この辺の「仮にそういう世界だったら、どういう世界になるか?」というシミュレーションはSF作品でもかなり差が出ますね。

しかしドンパチ系SFとして十分にエンターテイメント

と、そんな感じで微妙な評価を下していますが、全体としては十分にエンターテイメントな作品でした。

最新のSF映画としてエイリアンの質感や動き含めて映像は十分美しく作られていますし、タイムマシンが絡むものの面倒な領域に手を出しておらず、ストーリーの簡潔さは清々しいほどです。

 

この感じはバトルシップなんかに繋がりますね。エイリアンと超ド級戦艦を戦わせたいだけだったあの映画。

バトルシップも設定の甘さはありましたが、それと同じく細かい点を除けば十分に楽しい映画でした。なんかもう既に続編の話があるようですね。どうするつもりなんや。

[映画] オブリビオン

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圧倒的トム・クルーズ

最後にオブリビオンです。2013年の公開当初から存在は知っていたものの、なんだかんだ今まで見ることなく過ごしました。

トム・クルーズ主演で、割と孤独な感じがする映画。印象的にはインターステラーとかオデッセイみたいな印象を持ってましたね。

割とのほほんとした出だし

基本的な設定としては

  • 2077年の荒廃した地球が舞台
  • 2017年に宇宙人"スカヴ" の侵略を受け、なんとか勝利したものの地球に住めなくなった
  • 大半の地球人は地球を捨て、土星の衛星に移住
  • トム・クルーズは海水をエネルギー源とする核融合プラントの警備ミッションにあたっている

という感じ。

警備と言っても、基本的にスカヴには勝っているので先ほどのトゥモロー・ウォーみたいな過激な戦闘はなく、僅かな残党がゲリラ的に警備ドローンを破壊しているような状況です。

警備ミッションについているのはトム・クルーズと、オペレータ役のアンドレア・ライズボローの2人。一応恋人関係なのかな。

という、平和な感じではじまります。

突如現れるモーガン・フリーマン

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サングラスが渋い

物語の途中、よくわからん勢力にトム・クルーズが拉致されるんですが、そこのリーダーがモーガン・フリーマンで存在感ありまくりです。良い老け方してますな~。

見た感じ、モーガン・フリーマンは地球に残った生き残りのようで、ドローンから奪って集めたコアなんかを使って、トム・クルーズらを統制している宇宙ステーションを爆破するつもりらしい。なんとまぁ。

 

この辺から物語が動いてくるんですが、こっちの物語は結構しっくりきました。
なるほどそうきたか的な驚きもあったので、ストーリー面でもなかなか楽しめましたね。

最後は微妙だけど楽しめるクオリティ

この映画、2013年にしては荒廃した地球の描き方など、グラフィックが今見てもきれいなものでした。(HDRではないので光の使い方は一昔前っぽさがありますが)

ストーリーも変なところはさほどなく、満足度高くクライマックスに向かっていきましたが、たしかに他のレビューで指摘されていたように、最後のハッピー(?)エンドの描き方にはもう少しなかったのかなという気持ちにはなりましたね。

 

とはいえ、それを理由に★1とかするものではないので、★4くらいですかね~。ドンパチ感はそこまでなかったですが、ストーリーのオシャレさなど、なかなか楽しめるところでした。

 

まとめ

そんな感じで、立て続けにSF、それも地球外生命体との絡みがあるものを楽しんできました。

なんとなく評価をするとこんな感じ。時間を無駄にしたなー、っていう感覚まではないものたちでした。

  • ★★★★★ [小説] 三体
  • ★★★☆☆ [映画] トゥモロー・ウォー
  • ★★★★☆ [映画] オブリビオン

普通にしてるとあまりSFは見ない方なんですが、こうして見てみるとエンターテイメントとしては王道的な面白さがありますね。

ブログを書くようになってから映画からも遠ざかっていたところですが、やはりたまにはこうしたエンターテイメントに触れていくのも悪くないと改めて思いました。

 

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