たくなくの雑記帳

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いまさらながらテネットみた

クリストファー・ノーランのテネットをいまさらながら見ました。

クリストファー・ノーラン作品いろいろ

テネットは2020年下期から公開されていたクリストファー・ノーランの映画です。
クリストファー・ノーランといえばバットマンシリーズのリブート作だったり、インターステラーとかが有名ですね。個人的にはインセプションが一番好きです。

ノーラン作品は大体見てたので、テネット公開時も見に行きたいなと思ってはいつつも、コロナの最中で映画館行くのもなぁ、と思って結局見に行かないまま公開を終えてしまっていました。

 

昔は好きな映画に関してはBlu-rayパッケージで買って見ていたんですが、今やAmazonプライムなんかで気軽にフルHD&サラウンドの映画が見れるとあって、パッケージにも手が伸びず...。ただ、ノーラン作品はあまりAmazonプライムに出てこないので、なかなか見る機会がないなぁと思っていました。

が、奥さんが契約しているNetflixをリビングテレビでポチポチしてたところ、テネットが配信に含まれていることに気付いたので、さっそく観ることにしました。

Amazonプライムビデオ / Netflix / Huluあたりの大手サブスクを見るに、大まかなところは大差なかったりしますが、たまにこういう違いがあったりするのでたまにチェックしてみると発見がありますね。

 

テネット(TENET)

というわけで今回見たテネットですが、今作のテーマは「時間の逆行」のようです。

言われてみれば、ノーラン作品を思い返すに「時間」に関するギミックが結構多いことに気付きました。

みたいな感じです。

あまり「時間」という軸で過去作を見たことはなかったですが、そんな中で確かに「時間の逆行」とか「タイムトラベル」を取り上げられていなかったですが、テネットでついにその領域に手を付けたということになります。

時間の逆行

時間の逆行というと、おそらく端的にイメージするのがタイムトラベルで、何らかの仕組みで過去のある時点に行くというものです。
しかし、テネットではそんなイメージに反して、読んで字のごとく時間の "逆行" を描いているのがユニークなところです。

基本的なコンセプトとしては、

  • 特殊な装置に入ることでその時点から時間に逆行できるようになる
  • 時間の逆行中は重力を除く物理法則に変化が生じる
  • 逆行から順行に戻るには、再び装置に入る必要がある

という感じのようでした。

基本的に人を含めてすべての物質は未来に向かって一方向的に時間が進んでいますが、テネットでは過去に向かって進むという、ちょっと言われただけではよくわからないコンセプトが組まれています。

一応、この「過去に向かって進む」ということは反物質の理論的性質とかエントロピーの原理をある程度盛り込んだコンセプトになっているようですが、細かいところの整合性はなかなかイメージできず、「そういう世界なんだ」ということでフタをして見ていました。

いくつか解説サイトみたいなのも読みましたが、そのあたりの理論的考察をしているサイトはほとんどなく、単にテネットの世界のルールを整理してストーリーを追っているようなものが多かったです。

時間の挟撃

物語の終盤、敵サイドから重要アイテムを奪取するにあたり、時間の挟撃シーンが描かれます。Aチームが10分前から作戦時間に向けて順行し、Bチームが10分後から逆行するというものです。

コンセプトレベルでいけば「はー、なるほど」という感じなのですが、実際にそのシーンを見ていると何がなんやらよくわからないという気持ちでいっぱいになります。
レビューサイトなんかでは「1回目より2回目のほうが面白い」と言われているので、もう一度見たらまた違うのかもしれませんが、1回目で理解するのにはなかなか限界のある難しいストーリーでした。

ちなみに、この順行と逆行を組み合わせた10分間(Ten)の挟撃を Ten + neT としてタイトルのテネットにかけているみたいですね。すごい。

決まっている過去に向かう...?

テネット全体の作りとして、

  • まずは順行する時間の流れに沿ってストーリー展開する
  • 全体の中ほどが時系列的な先端になり、そこから逆行を織り交ぜた過去時点の話に展開していく
  • 最終的に、物語の最初に描かれたタイミングで決定的な戦いがあったことがわかる

というものになっています。

最初半分の順行ストーリーでは何気なく描かれていたシーンにも、後ほど逆行者の視点で絡みがあったことが示されますが、そうした逆行者の行動は決まっているのか?という疑問がありました。

 

順行するストーリーの中で逆行者と交錯しますが、その交錯の結果は確定した過去として記録に残ります。
しかし、逆行者からしてみればこれから向かっていくのがその交錯の過去なので、その結果がどうであるのかはよくわからないように思えるはずで、そんな逆行者の行動が過去にどういった影響を与えると解釈されるのか、中々気になるところでした。

「親殺しのパラドックス」には興味がない

タイムトラベルものにおける悩みの種になるのがいわゆる親殺しのパラドックスですが、テネットにおいてはあまりその解釈を重要視していないところも結構特徴的だと思いました。

今作では敵サイドが未来人であり、主人公サイドが過去人で、未来人が画策するのは過去人が全て死ぬことになる内容なのですが、そうしたとき未来人はどうなるのか?という典型的な親殺しのパラドックスを孕んだストーリーです。
しかし、その問題を「彼らはそのことに興味がない」として片づけてしまっているのは中々大胆なアプローチだなと思いました。

確かに、親殺しのパラドックス自体は検証が難しい話なので、否定も肯定もできてしまうわけで、結局は主義主張の話でしかなく、宗教的なスタンス論に行きつきます。
そうしたスタンス論として敵サイドは「過去人を滅ぼしても未来人には何の影響もない」という前提を信仰していることになっています。実に巧妙です。

しかし対消滅はするらしい

親殺しのパラドックスの解釈は巧妙に回避しているものの、作中では「逆行者が順行する本人に接触すると対消滅を起こす」というルールが語られており、このことが分かっている理由が少し気になりました。

逆行の理論的な骨組みは「反物質は時間に逆行する」という実際の物理学でも理論的に予見されていることに立脚しており、反物質と正物質が出会うと対消滅することも理論的には整合する話です。

ただ、このテネットの世界において「本人と接触してはいけない」というのが単なる理論的性質からくる予見なのか、実際に誰かが対消滅したことによって得られた事実なのか、そこがよくわかりませんでした。
理論的性質だけなのであればいいのですが、容易に実験可能な状況でそれを実験していないはずもない気がしており、やはり実際に誰か対消滅したと考えるのが自然だと思いました。

だとすると、対消滅の事例を観測していることになりますが、その対消滅はどうやって成立しているのか、先ほどの親殺しのパラドックスと同様に解釈が難しいような気がします。

 

しかしこのストーリーを組み上げるのはすごい

解説なんかを頭に入れながら改めてストーリーを振り返っていますが、これまでのノーラン作品にも増して難解なストーリーでした。

時系列の理解が難しいという点ではメメントのようであり、時間の流れ方や物理法則が違ったりするのはインセプションのようであり、いずれも難解なストーリーだとされたものをミックスしているため、そりゃあそれ以上に難しいよなぁ...という感想です。

 

メイキングなんかではキャスト自身もストーリーやコンセプトが理解できず、ノーラン監督に何度も質問したというような話が出てきますが、基本的な詰めを自分でやってのけたノーラン監督の頭の中は本当にすごいとしか言いようのないのものでした。

今回はテネットが作品化されたわけですが、きっと他にも作品化されていないネタがいくらでもあるんだろうと思うと今後も楽しみです。
ノーラン作品は映像や音響に力を入れていることでも有名なので、いつかまた劇場で心置きなくみられるようになってほしいですね。

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