Google Fontsを色々読み込ませて遊ぶ - その3 [2021年9月版]
またやってしまいました。3回目です。これまでのものはこちら。
ではいってみましょう。
目次(長いので折りたたみ)
増えたフォント
2021年4月2日の前回までに試したフォントは21種類ありました。そして2021年9月23日現在では、31種類に増えています。また10種類増えたんですね。
ゴシック系
ゴシック系は2種類。前回はFontworksが多く増えていましたが、今回もKlee Oneが増えています。
- Klee One
- Yomogi
明朝系
続いて明朝系も2種類。その他でも出てきますが、 Font-Kai の解星シリーズが入っています。
- Kaisei Tokumin
- Hina Mincho
その他
残り6種類は例によってクセの強いこちら。用例が楽しみです。
- Rampart One
- Kaisei HarunoUmi
- Kaisei Decol
- Kaisei Opti
- Palette Mosaic
- Otomanopee One
サンプル比較
では順にフォントを適用していきます。例文をこれまでと同じく山月記です。
Googleの明朝フォントであるNoto Serif JPをあてるとこんな感じ。
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
ではいってみましょう。
ゴシック系
まずはゴシックから。教科書のような落ち着いた読み味になることが多いですが果たして。
Klee One
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
いいですね。少し線が控えめな感じではありますが、とても落ち着いた印象を受けます。
Yomogi
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
線が控えめという意味ではKlee Oneと同じですが、丸い感じになっているので、また違う印象になります。丸いフォントという意味では、これまで紹介したKiwi Maruだったり、ズッ友フォントのHachi Maru Popなんかとグラデーションが取れそうです。
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
とはいえこう見るとHachi Maru Popは格が違いますね...笑
明朝系
続いて明朝系です。落ち着いた雰囲気のゴシック系に対して、格式の高さを感じさせる明朝系ですがこちらはどうでしょうか。
Kaisei Tokumin
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
一応 Font-Kai の公式サイトでも解星特ミンとして明朝に分類されていたので明朝系としましたが、解星フォントが全般的にデザインフォントの印象なので、よくある明朝とは違って曲線が多く取り入れられていたり、独特の雰囲気があります。
線の太さは割とどっしりしているので、存在感あるフォントですね。「虎」の感じなんかは結構好きです。
Hina Mincho
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
一方、こちらのHina Minchoは素直な明朝という感じです。ただし、こちらも王道らしいNoto Serif JPと比べるとかなり線が柔らかく、流れるような文体を感じさせます。
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
こうしたどっしりした明朝体と対比させたのは前回のShippori Minchoと同じですが、並べてみると
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
という感じになります。Hina Minchoではひらがなの柔らかさに特徴があり、割とゴシックと明朝の中間くらいの印象を与えてくれるかもしれません。
その他
それではここからはクセモノシリーズ。
Rampart One
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
さっそくやってくれましたね。
到底文章を丸々表現するのには向かなさそうなフォントです笑
具体的な用例を探してみると、こんな感じのものがありました。
こう見ると自然な感じですね。デザインって不思議。
いずれにせよ、大きくスポットで使うのがよさそうなフォントでした。
Kaisei HarunoUmi
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
続いて解星新ミンシリーズの春の海です。
見た感じの印象としては先ほどの特ミンと似ていますが、こちらは漢字の曲線使いがより印象的です。
Kaisei Decol
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
こちらは解星デコール。
これまでの特ミンや春の海では主にひらがなで筆や万年筆で運筆したような、流れるような印象がありましたが、こちらはどちらかというとサインペンみたいに一筆一筆しっかり書き留めたような印象になっています。
Kaisei Opti
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
今回の解星シリーズとしては最後の解星オプティです。
このサイズで見ると分かりませんが、実はひらがなの墨溜まりや交わる線の扱いに差があります。ちょっとでかくしてみましょう。
虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと
虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと
という感じで、デコールでは最後を流さず留めて墨溜まりにしていたり、「は」の交差部分で線を切っていたりと、実は細かいところが違っていたことがわかります。奥深い。
Palette Mosaic
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
なんじゃこりゃというところですが、こちらはひらがなやアルファベット限定のフォントになっています。
なので、存在しない漢字部分はデフォルトフォントになっているというわけです。
これでは文章としての感じが分かりづらいので、アルファベットとひらがなのパングラムを表示させてみましょう。
The quick brown fox jumps over the lazy dog.
いろはにほへと ちりぬるを わかよたれそ つねならむ
うゐのおくやま けふこえて あさきゆめみし ゑひもせす
うーむ、じゃあこれで分かったのかと言われると微妙ですね。また作例を引用します。
なんかそれっぽい気がする。デザインって不思議(2回目)
エッジがはっきりしているという意味では、マテリアルデザインのタイトル表示なんかと相性がよさそうな気がします。
Otomanopee One
一行が丘の上についた時、彼等は、言われた通りに振返って、先程の林間の草地を眺めた。忽ち、一匹の虎が草の茂みから道の上に躍り出たのを彼等は見た。虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再びその姿を見なかった。
今回最後のフォントはこちら。こちらも漢字をすべて網羅したものではないフォントです。
漫画の効果音を意識したフォントだということで、そのイメージはこのGoogle Fonts公式のツイートからよくわかります。
New Font! Otomanopee by @Gutenberg_Labo is a display font, inspired from handwritten onomatopoeias in Japanese comics. Supports elementary school Kanji level 2 (240 Kanjis). 🐣 https://t.co/fDA34Ro52W pic.twitter.com/ewre9vA2ZL
— Google Fonts (@googlefonts) 2021年7月15日
しかし、ぱっと見フォント名が「オノマトペ」に見えますが、実際には「オとマのペ」なんですね。
おわり
今回も楽しく実例チェックができました。一見違いがなさそうに見えるフォントたちでも、拡大してじっくり見てみると違いが見えてきたり、フォントデザイナーの方々の偉業に頭が下がるばかりです。
僕が書いているのは文章ツールとしてのフォントの比較ですが、いくつか引用したようにデザインツールとしてのフォントで見るとまた違うので、そうした作例も興味があったら探してみてください。
今回引用した以下の記事では、2021年9月現在利用可能な31フォントが全て作例になっているのでとてもわかりやすいです。
お読みいただきありがとうございました!
応援クリックよろしくおねがいします!