たくなくの雑記帳

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Wikipedia文学を読む

ふと読みたくなったのでいくつか読み返してました。

Wikipedia文学とは

ネットでもたまに話題になりますが、Wikipedia記事の中でも読み応えのある、優れた記事のことをWikipedia文学と言ったりします。

最近まさに話題になったのがこちらで、Xでも「Wikipedia文学」という呼称が見受けられます。

当然Wikipedia公式として「Wikipedia文学」なる呼称があるわけではありませんが、類似する概念として「秀逸な記事」「良質な記事」という区分があります。

いずれも内容そのものの良し悪しを評価しているわけではなく、トピックに対する記載の充実度や正確性・中立性などの観点から、百科事典の記事として秀逸/良質であるという考えで評価を行っています。

現在、ウィキペディア日本語版全体で 1,389,164 本の記事があり、そのうち 99 本の記事 (0.007%) が秀逸な記事に選ばれています。

現在、ウィキペディア日本語版全体で 1,389,107 本の記事があり、そのうち 1986 本の記事 (0.14%) が良質な記事に選ばれています。

これらは非常に狭き門をくぐり抜けた記事であり、それゆえにWikipedia文学とも呼ばれる読みごたえを持ったものが多くあります。

なお、記事リンクは読みやすさの観点でWikiwand経由にしています。

トムラウシ山遭難事故

まずは前述のTogetterまとめで紹介されていたこちらから。

2009年に発生した北海道のトムラウシ山における遭難事故です。北海道であることを差し引いても、夏場の遭難事故で低体温症の死者が続出するというのはなかなかの衝撃だったのではと思います。

Togetterでも触れられている通り、悪天候の中で登山・下山を強行する中でパーティが分散していく様子や、次第に弱っていく様子は事実は小説よりも奇なりを体現するような、読みごたえあるものでした。

八甲田山雪中行軍遭難事件

トムラウシ山も遭難事故ですが、遭難事故といえばこちらが思い浮かびます。
日露戦争を控えた1902年に雪中行軍の訓練として行った八甲田山の行軍において、210名中199名が亡くなるという世界でも類を見ないレベルの遭難事故です。

僅かながら生還した方々の証言をもとに、事故の経緯がある程度明らかになっていますが極度の低体温症により極寒の中脱衣してしまう、いわゆる矛盾脱衣も発生しており、壮絶な状況であったことがわかります。

三毛別羆事件

おそらくWikipedia文学として最も有名なものがこちら。

大正時代に起きた、日本最悪の熊害とも言われる北海道で7名の死者を出した事件。

事の顛末自体はシンプルではありますが、○月○日の形式で徐々に紡がれる時系列の記載と、それぞれの緊迫した状況が相まって恐ろしい読み物に仕上がっています。

おそらく熊害としてはこちらが最も有名ですが、福岡大学ワンゲル部のこちらも有名です。

地方病(日本住血吸虫症)

三毛別羆事件と並んでWikipedia文学として有名であり、冒頭で紹介した秀逸な記事でもあるのがこちら。

山梨県でかつて存在した感染症で、医学的な調査・研究がはじまって100年以上かけて撲滅された顛末がまとまっています。

最終的には1978年に最後の感染報告があり、その後様々な観測結果を踏まえて1996年に終息宣言がなされたことを考えると、まだまだ最近のことであることが伺えます。

八丈小島のマレー糸状虫症

これも似た内容で、同じく秀逸な記事に認定されています。

こちらも100年近い調査や研究が展開されていますが、原因の究明がなされた後、最終的に高度経済成長による島の人口減少などを踏まえ、島自体から集団離島する形で終結しています。

こういうものを読むと、「謎の病」を恐れることなく生きていられるというのは非常にありがたい時代なんだなと痛感します。

Wikipedia文学≠秀逸な記事

ちなみに、今回挙げた「八甲田山雪中行軍遭難事件」「三毛別羆事件」「地方病(日本住血吸虫症)」は代表的なWikipedia文学として有名ですが、このうち秀逸な記事になっているのは地方病のみとなっています。

Wikipediaが認定する秀逸な記事の大まかな要件としては、

1. 高い完成度で文章や構成がよくまとめられている。(可能なら)図や画像や表なども使われ、説明を補助している。
2. 詳しくない読者にもその主題について理解できるように、わかりやすく書かれている。ただし、高度に専門的な主題を扱ったものであれば、関連記事を読んで理解していることを前提にするのは問題ない。
3. 必ず説明されるべき点から主な関連事項までが含まれ、内容が充実している。ただし、どこまでを含むかは他の記事との連携・分担関係にもよる。
4. 専門的な資料から関連資料に至るまで、主題についてよく調査されている。
5. 観点の中立性が保たれている。
6. 必要な出典が記事全体を通して十分に挙げられており、個々の記述の根拠が脚注や本文中で明らかにされている。特に、肯定的・否定的・主観的な表現については出典が付けられていることが望ましい。
7. 以上の点が全て満たされている。

とされていて、「読みごたえ」それ自体は秀逸さに何の影響も与えていないことがわかります。特に三毛別羆事件に関しては全体的にとある書籍の引用に近い状態であるとも言われており、出典の十分性に難がある状態となっています。

一方で、そうした秀逸でも良質でもない記事にも読みごたえのあるものが多くあるであろうことを考えると、まだまだ探しがいがあるものとも思いました。

まとめ

秀逸な記事は全体で100本くらいなのである程度読めてしまいますが、良質な記事の方は2000本くらいあるのでなかなか読み切れていません。

これからも気づいたときに読み漁っていきますが、ぜひそういうオススメがあったら教えてください。

 

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