たくなくの雑記帳

思ったことを書き留める雑記帳

ステマ規制って結局なんぞや

10月1日施行ということで色々耳にするようになった「ステマ規制」。
なんとなく内容はわかったものの、良しとされている対応があまりしっくりきていないので真面目に調べることにしました。

ステマ規制とは(雑な理解)

まずは最初に、Xなんかで流れてきたステマ規制の内容および対応策について思い出してみます。

  • 内容
  • 対応策(具体例)
    • SNSで商品リンクを貼るときは #ad や #広告 タグを明記しないといけない
    • ブログ記事にアフィリンクが含まれる場合は広告である旨明記しないといけない
    • ...

大体こんなところでしょうか。まあ主旨はわかります。

では対応しましょうか

このブログではGoogle AdSenseの広告を貼っていたり、Amazonアソシエイトのアフィリンクがあるので対応しなきゃいけないような気がします。

具体的にどんな対応をすべきなのかググってみましょう。

とまぁ、こんな感じで「ファーストビューに広告である旨が表示されるようにしなさい」という風に書かれています。
歴戦のアフィリエイターだと過去記事への遡及対応が大変でしょうから、全記事一括での対応を書いている方も多いですね。

実際、メジャーなWordPressテーマにおいてはステマ規制を念頭に置いた表示オプションをアップデートで導入しているところが見受けられます。

こちらの記事では「AFFINGER6」「SWELL」「STORK19」「Cocoon」がテーマとして対応してる旨を紹介しており、僕もWordPressで運用しているブログはSTORK19なのでやったぜと思っていました。

とまあ、こういう記事を見てとりあえずということもあり、一旦ブログデザインで全記事一律で広告表記が入るようにしてみました。

しかし意味がよくわからない

ここまでで一応よしとされる対応をとったのでめでたしめでたしでもいいのかもしれませんが、「内容によらずとにかく一律で対応しとけばよい」っていうのがなんとも気持ち悪く感じました。

主旨とか景品表示法の考え方からすれば優良誤認のあたりが概念として対象になるはずで、「この記事には広告が含まれます」の文言を内容によらず一律挿入することが、優良誤認の防止に繋がるのかと言われるとうーんと思うわけです。

むしろ、まさに広告であるものに対してピンポイントでそういう表示をしないと、かえってステマが炙り出されないのでは?って気がします。

というわけなので私は根拠法を求めてアマゾンの奥地へ旅立つことしました。

一次ソースを参照しよう

便利なものでインターネットの世界でアマゾンの奥地はすぐに見つかります。

(OGPガタガタで文字化けしてるけど気にしないことにしよう...)

早速よく読んでみましょう。

主旨っぽいもの

消費者は、企業による広告・宣伝であれば、ある程度の誇張・誇大が含まれているものと考えており、そのことを含めて商品・サービスを選んでいます。

一方で、広告・宣伝であることが分からないと、企業ではない第三者の感想であると誤って認識してしまい、その表示の内容をそのまま受けとってしまい、消費者が自主的かつ合理的に商品・サービスを選ぶことが出来なくなるかもしれません。

なるほど。ここを読む限りステマを危惧してる感がある。

規制の対象っぽいもの

景品表示法で規制されるのは、広告であって、一般消費者が広告であることを分からないものです。

※広告には、企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれます。
※インターネット上の表示(SNS投稿、レビュー投稿など)だけでなく、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌等の表示についても対象です。

個人の感想等の広告でないものや、テレビCM等の広告であることが分かるものは対象外です。

「広告であって、一般消費者が広告であることと分からないもの」

「広告には、企業がインフルエンサー等の第三者に依頼・指示するものも含まれます」

うーん、難解になってきましたね。

規制の対象者とは

規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。
企業から広告・宣伝の依頼を受けたインフルエンサー等の第三者は規制の対象とはなりません。

うーん?つまりインフルエンサー含めたブロガーとかは気にしなくていいのか?

ステマ規制とは(正確な理解)

結局先ほどのページの情報量はちょっと少なすぎて考え方がいまひとつピンときませんが、リンクになっている

を熟読するのが一番正しく理解できそうです。

第1 「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の規制趣旨 

PDFを参照すると真っ先に主旨が出てきます。とても大事。

一般消費者は、事業者の表示であると認識すれば、表示内容に、ある程度の誇張・誇大が含まれることはあり得ると考え、商品選択の上でそのことを考慮に入れる一方、

(略)

そのため、告示は、一般消費者に事業者の表示ではないと誤認される、又は誤認されるおそれがある表示を、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがある不当な表示として規制するものである。事業者は、自らが供給する商品又は役務についての表示を行うに当たっては、一般消費者に、事業者の表示であるにもかかわらず、第三者による表示であるかのような誤認を与えないようにする必要がある。 

まさにステマの規制ですね。

第2 告示の「事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示」についての考え方 

で、具体的に規制すべしとされている表示の考え方がこれです。

告示の対象となるのは、外形上第三者の表示のように見えるものが事業者の表示に該当することが前提となる。

景品表示法は、第5条において、事業者の表示の内容について、一般消費者に誤認を与える表示を不当表示として規制するものであるところ、外形上第三者の表示のように見えるものが、事業者の表示に該当するとされるのは、事業者が表示内容の決定に関与したと認められる、つまり、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められない場合である。

対象物(ここでいう "商品又は役務" )の紹介にあたり、内容の指定があったものが対象というわけですね。

このあと、この第2の節を読み進めていくとより具体的なケース分類として、

  • 事業者自身が商品又は役務を紹介する場合(事業者が自ら行う表示)
  • 事業者が第三者に商品又は役務を紹介させる場合(事業者が第三者をして行わせる表示)

が説明されています。特に後者がいわゆるアフィリエイターによる紹介のケースで、考え方がかなり細かく書かれています。

第3 告示の「一般消費者が当該表示であることを判別することが困難である」についての考え方

あとは規制の対象となる広告であった場合に、誤認させかねないとされるダメな表示の仕方(&裏返しとしての良い表示の仕方)が説明されています。結構詳しく書いてあるので割愛しますが、

ウ 動画において事業者の表示である旨の表示を行う際に、一般消費者が認識できないほど短い時間において当該事業者の表示であることを示す場合(長時間の動画においては、例えば、冒頭以外(動画の中間、末尾)にのみ同表示をするなど、一般消費者が認識しにくい箇所のみに表示を行う場合も含む。)。

ク 事業者の表示であることを他の情報に紛れ込ませる場合(例えば、SNSの投稿において、大量のハッシュタグ(SNSにおいて特定の話題を示すための記号をいう。「#」が用いられる。)を付した文章の記載の中に当該事業者の表示である旨の表示を埋もれさせる場合)。 

なんてのはなかなか踏み込んでていいですね。

つまり結局どう対応したらいいの?

ここまで読んでステマ規制の意味するところはざっくり言って、

  • 対象(商品又は役務)の紹介内容に、対象の提供者からの指示があった場合に広告である旨の明記が必要

であると理解しました。

なので、例えばこのブログであれば僕が自由意思に基づいて好き勝手商品レビューなんかをしているだけなので、ステマ規制の対象にならず、少なくともブログ全体で一律的に広告が含まれる旨を表示する必要はなさそうです。

改めてこういう理解で調べなおしてみると、

というような法律系のページでは主旨の通りに解説していることがわかります。

まぁ確かに、こういう文章に慣れてない人からすれば「結局なんやねん!」って思うところもあるでしょうから、「これだけやってればOK!」っていうページ記載が好まれるんでしょうね...。

おわりに

というわけで、一旦一律的に対応はしてしまいましたが、主旨や制度運用をちゃんと読んでみるとこのブログでやってることは規制の対象にあたらないと理解できました。

むしろ、WordPress界隈なりで「とにかく全部に広告の表記入れるべし!」みたいなのを言い出したのはいったい誰なのか...。
もちろん安全なほうに倒すのは悪いことではないと思いますが、「事業者から内容の指定がある場合」みたいな大事なファクターを落としているので、浮き上がらせるべきステマ広告を含めた全広告が同じラベルのもとに沈むわけで、結構本末転倒な流れになっているなーと思いつつ、自分のブログからは一律な表示を外すことにします。

 

 

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