たくなくの雑記帳

思ったことを書き留める雑記帳

つい気になってしまう健保連の予算と決算

だからどうって話なんですが、どうしても気になってしまったので調べて書いてこの気持を供養します。

健保連の予算発表

今朝こんなニュースを目にしました。

健康保険組合の集団である健保連が取りまとめた内容によれば、2021年の健保予算は「8割が赤字」になっているというインパクトある内容です。

日本は国民皆保険制度によって医療に手厚い国ではありますが、医療費がかさみやすい高齢者人口が増えることで、この制度体系が崩れるのではないかという話をよく聞きます。

それは端的に言えば、こんな風に保険料収入を保険給付が上回るという事態ですので、このニュースが注目を集めるのもわかります。

しかし、しかし...このニュースを見て、とある思いが湧き上がったという話です。

 

中身を見てみよう

健保連発表そのものから、もう少し中身を見てみましょう。

いくつかありますが、令和3年度 健康保険組合 予算編成状況について -予算早期集計結果の概要-(PDF)のスライドが一番見やすいです。

中でも、一番内容を端的に表しているのがこのページです。

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引用:令和3年度 健康保険組合 予算編成状況について -予算早期集計結果の概要-(PDF)(p.4)

見て分かる通り、リーマンショック付近(平成20-21年)で大きく赤字に陥った結果、多くの保険組合が保険料率を引き上げ、なんとか黒字転換したところ、またこのところ赤字に転落している、とそういう内容が見えます。

今年は昨年よりさらに赤字幅が拡大していますが、その主要因としては収入の減少が挙げられるようです。コロナで収入が減り、それに連動して保険料収入も減った、という関係です。

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引用: 令和3年度 健康保険組合 予算編成状況について -予算早期集計結果の概要-(PDF)(p.1)

さてこう見ると、何も違和感なく聞いていられる内容、そんな気もします。

しかし、しかし気になる...

じゃあ何が気になるんだというと「予算と決算のブレ」と「潤沢な積立金」のことです。

予算と決算のブレ

保険給付という不確実な事項を予算において予測する性質上、ブレることは仕方ないのですが、健保連においてはこのブレ幅が結構ダイナミックです。

一番最近発表された決算は令和元年(2019年)のものですが、その予算値を見比べるとずいぶん違うように見えてきます。

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引用:2019年度_健康保険組合予算早期集計結果と「2022年危機」に向けた見通し等について (PDF)(p.2)

こちらが2019年4月22日に発表された2019年予算資料で、-986億円の赤字予算であることが述べられています。左に並んでいるのが前年度予算で、-1357億円です。

それに対して、2020年11月5日に発表された2019年決算資料を見てみると...

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引用:【資料4-2】 令和元年度健康保険組合の決算見込について(概要報告)(PDF)(p.3)

というように、一見見るところを間違えたかのような、全然違う印象の内容が書かれています。

これぞ健保連マジック。

 

こうしてブレること自体は、

  • 不確実性の大きい保健事業の予算である
  • 決算値と予算値の性質が大きく異なる
  • 当年4月の予算公表、翌年11月の決算公表

あたりのことから、こうなるのはやむを得ないというのは分かるんですけどね...ただここまで違うと、なんのために予算を公表しているのか、そしてその予算値に対してあーだこーだ言うことに何の意味があるのか...とつい思ってしまうわけです。

潤沢な積立金

とはいえ、リーマンショックの時期は決算値でも-5000億の赤字を計上していたわけなので、やばいときはマジでやばいことになります。

しかし、複数年に渡り巨額の赤字を計上しても、健保連としては存続できるのは各健保内で積み立てている貯金の力によります。マネー・イズ・ゴッドです。

どれくらいの規模の貯金があるかは、健保連決算資料の貸借対照表に記載があります。

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引用:平成28年度健保組合決算見込の概要(PDF)(p.26)

これは平成28年決算で少し古いですが、貸方の法定準備金別途積立金がいわゆる貯金にあたります。

法定準備金は保健事業の安定性を確保する観点で、保険者の数に応じて保有が義務付けられるお金で、それ以上のものが別途積立金として積み上がるイメージです。

単位が億円なので、法定準備金が1.8兆円別途積立金が2.1兆円あるということですね。

もちろん、予算規模8兆円の会計において2兆円の貯金がどれほどの安心を与えてくれるかというのはありますが、決して少なくはない規模の貯金があるというのは確かでしょう。

 

報道の違和感

GPIFに対する「巨額損失!」みたいな報道もそうですが、今回の「赤字組合が8割!」みたいな報道はなんだかなーと思ったりします。

基本的なストーリーラインとして、日本の健康保険制度が危機にあるのは理解しますし、収入減から昨年より厳しい予算編成になるということもわかるので、基本的なトーンに反対するわけではありません。

とはいえ、決算よりかなり厳しく出さざるを得ない健康保険事業の予算であること、そして単年赤字で崩れないための積立金を蓄えていることも踏まえて初めて、公平な報道だと思うのでなんだかなー、というところです。

 

ただ、現在の報道で「健康保険の危機」が指摘されているわけで、その主旨自体にはそこまで違和感はないため、冒頭に書いた通り「だからどうって話でもない」という感覚になってしまいます😇

でも、でも...事実は事実として公平に取り扱ってほしいし、そういった事実を踏まえて見解を添えてほしい...そういう気持ちがこみ上げてくる報道でした。

補足1:これまでの予算と決算差異

健保連発表の予算値と決算値が大きく異なるという話をしましたが、2008年以降のデータを振り返るとこんな感じです。

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健保連予算と決算の推移

灰色の差異が常に上側(プラス)にいることから分かるように、この期間では常に予算値よりも決算値が黒字側に動いています。

さらに言えば、リーマンショック期の赤字から脱した後、2014年から確定しているだけで6年連続で黒字決算ですが、実はその間もずっと予算としては赤字予算を出し続けています。

そう、健保連マジックです。

補足2:積立金の推移

予算/決算値と同様に、積立金の推移も見てみましょう。

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積立金の推移と料率引上組合数の推移

こちらは灰色の総資産の増減とは逆に、黄色の料率引上組合数が増減していることがわかります。リーマンショックから少し遅れて2012年に引上げのピークとなりましたが、2014年に黒字化して以降、かなり低く推移していますね。

灰色の総資産は減少から増加に転じたことがわかりますが、その変動の中身はほぼオレンジの別途積立金に依っていることがわかります。
もちろん、青の法定準備金は「手を付けないことが望ましいお金」ですので当たり前ですが。

この期間中で言えば、2008年に別途積立金が約2.5兆あったところ、2012年には約1.4兆と毎年2500億のペースで減らしていきました。
このことを思うと2兆あるから安心というものではなく、慌てて多くの健康保険組合が保険料率に動いたということも理解できます。

しかし、開示されなくなった貸借対照表

ところで、上のデータが2016年を最後に切れています。
それはデータを集めるのがだるくなったから...というわけではなく、2017年(平成28年)以降の貸借対照表が公表されなくなったからです。

この2つ、ほぼ同じフォーマットに見えますが、別紙として添えられていた貸借対照表が平成29年のものには入っておらず、これ以降貸借対照表のない決算公表が続いています。

これは勝手な邪推ですが、基本路線としては財政不安を強調し、保険料率引上げの機運を高めたいがために、豊富に積み上がっている積立金の存在を見せたくないとかそういう気がしてしまいます。

このあたりについて世間一般の課題感はないのかとググっていたら、こんな文書を発見しました。

健保連が、1,674組合分をまとめた平成14年度末の決算見込みを公表した。
強調していることは、「4,000億円強の過去最悪の赤字」「全組合の8割以上が赤字」という点である。貸借対照表(バランスシート)を開示しない、経常収支値を決算値と強弁する等、旧態依然たる状況も変わらない。

「平成14年」のところを除けば、同じような話に見えますね。

面白い(?)のが、「3.新聞はどう書いたか」のところで、

新聞各社は健保連の発表を受け、7月11日付の朝刊で一斉に報じた。その内容と去年の報道内容を整理したのが表④である。
これから以下のことがわかる。
○各紙とも巨額赤字と赤字組合数の割合を強調した横並びの論調である。
○総収支差が黒字であることや総収支と経常収支の違い等について報じたところは、どこもない。
貸借対照表が公開されていない問題を追求しているところも、どこもない。
○今年と去年を比較してみると、数字を変えただけで、内容的にほぼ同一である。

これは平成15年、つまり今から18年ほど前の2003年のことですが 、基本的に今の何も変わっていないということですね。

2003年はまだリーマンショックが発生する前ではありますが、リーマンショックがあろうが、コロナショックがあろうが、基本的にスタンスが変わっていないというのは、もう逆に感心できるところなのかもしれません。

 

次の決算、次の次の決算はどうなるか

こうなってくるともはやそういう伝統芸能だと思って向き合ったほうがいいのかもしれません。

今のところ最新の決算が2019年なので、2020年決算がどうなっているかや、今回発表された2021年予算に対して決算がどうなってくるかというのは少し楽しみ(?)な気がしてきます。

さらに、次の予算、2022年予算はこれまで健保連が危機を訴えてきた「2022年危機」の年にあたります。

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引用:今、必要な医療保険の重点施策 -2022年危機に向けた健保連の提案- (PDF)(p.1)

要するに「段階の世代が75歳に達し、医療費の急増が危惧される」というのが2022年危機のことです。

コロナによって手洗いうがいの励行など、日本の公衆衛生レベルが格段に上がったと言われますが、それによって逆に医療費が抑えられる...なんてことはないんでしょうかね。
このあたりは2020年決算をよく読んでみたいところです。

個人的には "保健事業" をもっとやってほしい

もっと言えば、2022年問題の課題感はよくわかるんですが、個人的に「病気を治す保険事業」よりも「病気を防ぐ保健事業」をやってほしいですね。

保険料をたくさん払っているからこそ、「たまには病気にならないと損」「病気になっても健康保険があるし大丈夫」みたいになる人がいるんじゃないかと思っています。

もちろん、進んで不健康になる人はいないと思いますが、お金の面で「健康を求めるモチベーションを作ってやる」ことも保健事業としてはアリだと思うんですが、どうなんでしょうね。病気にならなかったら来年の保険料がちょっと安くなるとか。

まぁそんな簡単でないのは承知ですが、情報開示はしっかりしてほしいですねぇ~。

 

っていう嘆きをもって、今朝のニュースに対する思いを供養します。ナムアミダブツ。

 

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無心でポチるスマホゲーから漂う「やれやれ感」

皆さんはスマホでゲームすることはありますか。

僕は基本的にないんですが、例外的にやってたゲームはあるのでその話をしてみます。

スマホゲーへの苦手感

これは単なる好みの問題なんですが、個人的にスマホゲーはあまり好きではないです。

仮に人類を「ゲーム好きな人」「ゲーム好きでない人」に分類するとすれば、僕はゲーム好きになりますが、どちらかといえば古き良き据え置き型ゲームのような、ボリューム感あるゲームが好きです。

自分で意思をもって初めてゲームを手に入れたのが多分1996年で、そこから25年くらいゲームをしていることになる。そう言われるとなんだかおそろしい。

そんなスタートから長いことゲームをやってきているので、自分の中のゲーム観は基本的に「時間をかけつつ、徐々に上達/成長してクリアしていく」というところにあります。

そういう感覚からすると、昨今の「ポチポチしていると爽快感が得られ、なんとなくクリアできる」ようなスマホゲーがあまり好きではない印象を持っています。
また、ゲームをクリアすることに関して「失敗を重ねつつも試行錯誤し、自身のスキルアップを通じてクリアできる」ようなイメージも持っているため、上達を実感できることが満足感につながっています。

なので、「とにかく時間をかけられる主婦や学生、そして金をかけられる独身社会人こそが勝てる」と揶揄されるような、最近の "基本無料" なタイプのスマホゲーが苦手だったりします。上達の外側でゲームのクリアが決まるというか、そんなやつが苦手です。

 

しかし例外的にやっているポチポチゲー

ただ、一切スマホゲーをやっていないかというとそういうわけでもないですし、かなり昔から「何が楽しくてこんなものをやっているのか...」と思うようなものもあります。

ちょうど先日YouTubeでかつてやっていたゲームを見かけ、それを久しぶりにここ数日プレイしていました。まったくもって無駄な時間を過ごすことができました(褒め言葉)

ちなみにそのYouTubeはこちら。別のゲームで知ったゲーム実況者がこれをやってて、そういえばこんなゲームがあったなと思い出した感じです。

ゲーム発展国 ++

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引用:ゲーム発展国++

それがこの、ゲーム発展国++というゲーム。

ゲーム会社の社長になって会社を経営していく、いわゆる「ゲームを作るゲーム」です。

基本的にはボタンをポチポチする以外にはやることがなく、ゲーム開発時に指定するジャンル等の組み合わせに多少の知識(といっても直感的に良し悪しは大体わかる)が求められるだけです。上達する感はあまりありません。

このゲーム発展国は2008年リリースですが、基本的には1997年の ゲーム発展途上国 および2001年の ゲーム発展途上国 ⅡDX がベースになっています。
確か中学生の頃にこのゲームを知り、PCでやっていたことを覚えています。

基本的に動作性能を求めないゲームなので、PC版でリリースされていながらも、ドコモアプリであったり、スマホアプリであったりと、結構色々なプラットフォームでリリースされています。最近だとSwitch版もあるようですね。

これまで3度ほどプレイ

中学生の頃に知ったこのゲームですが、それからふと思い出すたびにプレイしているような気がします。

  • 中学生:PC版
  • 高校生:ドコモアプリ版
  • 大学生:スマホ
  • 社会人:スマホ版 ← いまココ

今回は大学生の時と同じくスマホ版ではありますが、一応その当時よりはアップデートされているようで、今回始めて見た内容も含まれていました。

しかし基本的に何も変わりがない...

こう言ってはなんですが、このゲームの基本的なゲーム性は20年以上ずっと変わっていません。

  • ゲーム企画と称して、ゲームハードやゲームジャンルを選択する
  • 在籍メンバの能力値に応じて、ゲームのポイントが積み重なっていく
  • 基本的にゲームのポイントが高いほどよく売れて、儲かる
  • 儲かったお金で社員を教育したり、より優秀な社員を雇ったりする

大体はこんな感じです。

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ゲーム開発の様子

ゲーム開発は運ゲーなので意図的にポイントを割り振ることはできないんですが、社員の能力が上がればベースが上がっていくので、「ひとたびヒットゲームを出せるようになると、どうやっても売れ続ける」ようなゲームシステムになっています。あまり上達感がなく、ポチポチしてさえすればそれなりに成果が出るシステム。

あとこれも昔からですが、ゲームの売れやすさに「ゲームハードの普及台数」が絡みます。100万台のハードより、200万台のハードのほうがソフトは売れやすそうですよね。

...と、そこまではいいんですが、このゲームは「普及台数以上にゲームが売れる」ことが普通に発生します。2000万台のハードで5000万本売れるなんてこともありました。
これはもうバグというか、そういう世界観なんだろうなと楽しく感じています。

私を動かす、「やれやれ感」

なので、今回やろうと思ったときも、何かあたらしいことがあると期待したわけではなく、「またあの感覚を味わってみるか...」というような、ある種の諦めと同居した感覚でアプリをダウンロードしていました。

 

 「やれやれ、またあれか。
僕はそう思いながらも、Google Playのインストールボタンを軽くタップした。

 

 「もし村上春樹小説の主人公がゲーム発展国++をプレイしたら」なんてテーマで1本書いてみたら退廃的な世界観が描けそう。

今ここで少し書いてみようかと思いつつ、あまりピンとこなかったので今回はやめておきます。でも、やはりそういうスキルを持った人はいるんですね。

これはこれは、まこと村上春樹みが深い。

 

話を戻すと、この「やれやれ感」こそが再びこのゲームをやろうと思った原動力なんだろうとも思います。

 

やれやれしたいこと、他にある?

そんな感じで、「上達/成長を実感するのが楽しくてゲームする」反面、「やれやれしたくてゲームする」ようなところもあるなと思いました。

ゲームに関してこうですが、はてさて、他にやれやれしたいことってあるでしょうか?
胸を張って好きなことではないものの、地味に嫌いじゃないこと。

ピンと思いつくのは「たっぷり昼寝してしまう」ことですが、誇らしくアクティブな自分だけでなく、だらしない自分みたいなものに注目すると、また違った自分が見えるような気がしました。

 

やれやれ、またこんな毒にも薬にもならない日記を書いてしまった。

 

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2050年の世界ってどんなのだろう③:民間レポートからみる2050年

なんとなく書き始めて3回目です。なかなか楽しい。

前回はこちら。

今回はシンクタンクなんかの民間企業が出している未来レポート的なやつをナナメ読みしてみます。

2050年のニッポン(2017, みずほ情報総研

こちらは2017年12月に開催された、日経2020フォーラムにおける発表資料のようです。いかにもシンクタンクっぽい、色々詰め込まれた内容です。

冒頭で、こんな全体構成が説明されています。

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引用:2050年のニッポン ~課題を乗り越え、輝き続けるために~(p.2)

前回触れたような人口変動はもちろん、様々なことが変わっていくよということに触れ、その後「無策であと30年を過ごしたらどうなるか」という悲観的なシナリオを述べ、そうならないために何をしていけばいいか、という構成です。わかりやすい。

2050年の世界動向

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引用:2050年のニッポン ~課題を乗り越え、輝き続けるために~(p.5)

ここはまさに前回触れた通りですが、2050年時点の世界を見ると、人口・経済ともにアジアがその存在感を高めています。

人口としてはアフリカも増えているところですが、経済的にはもう少し時間がかかる、というのが2050年の読みになっているようです。

そうした世界動向の中、日本は特にどんな様子になるかというと、様々な技術革新によって色々な変化が起こるとされています。そのうちの一つに挙げられているのが、以下のようなモビリティ革命

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引用:2050年のニッポン ~課題を乗り越え、輝き続けるために~(p.10)

第1回の国土グランドデザインでも触れられていたように、都市内交通および都市間交通の利便性向上によって、少ない都市施設を広く使うようなコンパクトシティの構想が検討の前提になっているようです。

モビリティ革命のポイントとしては、

  • 自動運転により、車内は「過ごす」空間となる
  • シェアリングが容易となり、所有の必要性が低くなる(≒共用化が進む)
  • 電池性能の向上により、災害時電源などの機能を担う

なんてことがあります。これまでは「1台100万200万を10年使う」ような発想でしたが、そんな一括購入が珍しくなり、タクシーのような随時利用であったり、いわゆるサブスク型の定額サービスの利用になったりすると言われています。

2050年まで何もしなかったら?

続いては、危機前提の共有ということで2050年の日本が抱えてしまいそうな問題に目を向けます。

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引用:2050年のニッポン ~課題を乗り越え、輝き続けるために~(p.15)

その代表的なシナリオを1枚にまとめたものがこれです。

4つの問題がそれぞれ描かれているように見えますが、これらは結局のところ「高齢化社会の進展、就業人口の減少」から派生してくるような内容です。

  • 働き手が減る産業を支えるべくAIやロボットを活用するが、それらの活用格差で生きづらさが問題になる
  • 就業人口の減少から税収減を招き、インフラ整備財源が確保できなくなる
  • 高齢化による医療費増の反面、税収減で国民医療が崩壊する
  • そういった「悪い社会」により、人材が海外流出してしまい、さらなる産業の空洞化を招く

といった具合です。

残念ながら、日本の高齢化や就業人口の減少自体はもはや止めようがないものであるため、それを認めながらこれからの日本に何ができるのか、ということを考えなければなりません。

2050年の目指すべき姿は?

このスライドで、みずほ情報総研が提案しているのがこういったアプローチです。

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引用:2050年のニッポン ~課題を乗り越え、輝き続けるために~(p.24)

日本人が働くということを支え、かつ生きてける社会基盤を保ち続けるというのがその主旨です。

前者はさておき、後者はまさに国土グランドデザイン2050でも述べているような内容ですね。

中でも興味を引いたのは、

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引用:2050年のニッポン ~課題を乗り越え、輝き続けるために~(p.24)

という「エイジレス・ジェンダーレス社会」の部分でした。

2050年のネガティブシナリオは要するに、「日本人が活力を失っている」ことに起因するので、そこに活力を与えられるような社会を考えていこうという話ですね。

具体的にここで述べている社会の良し悪しがどうというわけではなく、こうしたみずほの "提案" に対して、僕ら自身はどんな生き方、どんな社会を望むのかというのはじっくり考えてみたいところです。

人生100年時代というキーワードはもはや目新しいものではなくなりましたが、それの意味するところが実際何であるのかという実感までは、まだまだ持てていないと思います。

このみずほの提案も「理論上はこういうことになる」という話ではあるものの、本当にこれが望むべき世界なのかはこの発表を通じて、むしろ批判を望む、もっといい内容でぶつかってくる人を望むようなところでもあるのでしょう。

 

未来社会構想2050(2020, 三菱総合研究所

続いてもう1つ国内シンクタンクのレポートを見てみます。こちらは三菱総研で、2020年の内容です。

こちらも基本的に話の流れは同じですが、ネガティブシナリオをそこまで具体的に話してはいないのがみずほとの違いです。

2050年に向けた6つの潮流

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引用:「未来社会構想2050」の概要 ~2050年に向けての世界の潮流と日本が目指すべきこと~(p.3)

三菱総研は2050年を考える前提として、この6つの潮流を挙げています。

特徴的なのは「②覇権国のいない国際秩序」のところですね。
中国やインドの台頭という意味でアジア中心な記載であるものの、だからといってアジアが覇権を握るわけではないというのは少し書き口が違うような印象です。

図の構成としてもそうなっているように「①デジタル経済圏の台頭」が三菱総研における中核的な前提になっているようです。
「デジタル経済圏」の概念が詳しく述べられていないのでよくわからないところもありますが、これまで言語や居住地が自然な壁となって国家などのコミュニティを形成してきたところ、デジタル技術の発展に伴いそれを必ずしも壁としない世界がやってくるということなんでしょうね。

豊かで持続可能な社会の実現

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引用:「未来社会構想2050」の概要 ~2050年に向けての世界の潮流と日本が目指すべきこと~(p.7)

そんな前提の中で、三菱総研の提言がこちら。

これだけだと端的すぎてわからないので、個別スライドでもう少し見てみます。

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という感じで、消費ニーズやライフスタイルなど、人の働き方や生き方が変わるよねってことを提言しています。

そういった人たちが生きる場所としてのコンパクトシティも出てくるので、やはり前提の置き方は多少違いつつも、三菱総研が提言するところもみずほのそれと大きく異なるものではないということがわかります。

未来社会構想2050 全文

ここまで引用してきたのはあくまで概要の資料でした。全文はこちらですので、興味を持った方はぜひ読んでみてください。

2050年の世界(2013, PwC

さてここまでは日本のシンクタンクでしたので、最後は外資系でいってみましょう。

先ほどの2つはいずれも提言の形になっていましたが、こちらは淡々とした調査結果および予測に留まる内容です。

2050年の経済世界

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引用:2050年の世界 BRICsを超えて:その展望・課題・機会(p.2)

最初に経済観点で見た場合のサマリが載っています。

1位中国、2位米国というのはよく見る並びではありましたが、2050年では日本がブラジルを抜いて4位というのはこうして見ないとなかなかわからない内容ですね。

2050年がアジア中心の経済というのはこれを見てもわかりますが、13位にナイジェリアが食い込んできているあたり、アフリカの足音が感じられます。

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引用:2050年の世界 BRICsを超えて:その展望・課題・機会(p.11)

ただ、国家レベルの経済規模では中国やインドが台頭するとはいえ、国民一人あたりではまだまだ先進国に及ばない状況が続くようです。

気候変動問題について

このレポートの基本的な構成は、

  • 2050年の経済・人口予測
  • 予測の前提となる気候問題認識
  • 今後のビジネス機会

といった感じになっています。

気候問題は要するに、SDGsに向けたモチベーションとなるものですが、基本的な考え方は「気候問題を無視していては、様々な活動が阻害され、かえって低成長な歩みになるよ」というものです。

中国などの新興国では、日本も過去に経験したように、投下資本利益率が低下する可能性がある。

最先端として設定した技術の進歩が失速する可能性がある。
(略)
この主張はICTの目まぐるしい変化や、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーなどの進歩が今後数十年間に加速する可能性と相容れない。

 というように表現されています。
新興国はわかりやすく発展の足かせになるし、先進国でも技術開発の遅れなどを生むかもねというような危機意識となっているようです。

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引用:2050年の世界 BRICsを超えて:その展望・課題・機会(p.15)

こちらが気候問題への対処度合いを最下段の気温上昇で端的に示したものですが、国連が目標とする取り組みが全て想定通りに推移しても、2050年までに2℃は上昇してしまうだろうというのが右側の緑化成長シナリオです。

一方で全く何も考えないというのが左側で+6℃、その中間でレポートとしても妥当な位置付けとなっているのが+4℃の漸次緑化シナリオのようです。

 「緑化成長」シナリオよりやや現実的ながら、依然として困難なシナリオが「漸次緑化」シナリオである。これは、エネルギー強度の改善が2000年以降の平均水準の約2倍になること、中国やインドで石炭からガスへの移行が大幅に進み、さらに2050年までに世界中で再生可能エネルギーへの移行が進むこと、同時に2021年以降はCCS(二酸化炭素の回収・貯蔵)が段階的に導入されることを前提としている。
(略)
このシナリオが実現しても、世界の気温は最終的に摂氏4度前後上昇し、経済、社会、環境に大きな打撃を与える可能性はあるが、これまでどおりの企業活動を継続した場合に起こり得る長期にわたる壊滅的な結果には少なくとも、至らないであろう。

こういった気候問題の対応はどうしたってコストがかかり、一見して非経済的に見えるものの、最終的に巡り巡って経済発展を阻害するので目を逸らしてばかりもいられない内容です。

今後10年のビジネス機会

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引用:2050年の世界 BRICsを超えて:その展望・課題・機会(p.16)

最後にこのレポートでは、今後10年における新興市場でのビジネス機会に触れています。

基本的には現地の商習慣などにうまく合わせる必要があるとしながらも、基本的には強力なブランドや事業基盤を持つ企業に機会があるという読みですね。

ここでも医療や教育に注目がありますので、日本国内の医療・教育産業はもちろんのこと、世界的な動向にも注視してみるといいのかもしれません。

The World in 2050

読みやすさの点でつい日本語レポートを読んでしまいましたが、PwC外資系企業なのでもちろん原文は英語です。

元々は The World in 2050 の中にあるコンテンツで、2006年に最初のものが公表されてから順次アップデートされているもののようです。

 

まとめ

最初の2つは日本、最後の1つは世界を対象としたレポートでしたが、前提とする世界観が異なるため、レポートの編成が全然違っていますね。

世界的には成長が見込まれているものの、依然として先進国/新興国の格差は大きく、加えて気候問題への対処が求められる難しさがPwCレポートでは述べられていましたが、日本のレポートでは「社会基盤は整っているものの、人口が減っていく」という前提があるため、いかにそれをアップデートしていくかという視点になっています。

改めて、日本という国が世界的にみれば恵まれているということがわかりますが、そういう成熟性ゆえに持っている悩みがあるということを改めて理解しました。

とりわけ、人生100年時代が避けられないようなこれからにおいて、どういった人生を望むのかは改めて考えたいと思ったことと、その準備の時間はまだ30年ほどあるというのは救いのある話でした。

次はアレですね、2050年に向けて実現が模索されるテクノロジーの話をします。夢を見ようの回。

 

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2050年の世界ってどんなのだろう②:2050年の人口予測(日本・世界)

おもむろにはじめた未来妄想シリーズ第2弾。今回は人口です。

前回はこちら。

2050年の人口について、日本と、世界とでデータを漁ってみます。

我が国の人口動態 平成30年版

2050年のデータとかいいながら、その前に「これまでの日本の人口推移」を見てみます。2050年のデータを噛み砕くためには、これまでの事実を知らねばならぬ、とかそういう気持ちです。

前回の国土グランドデザインは国土交通省の所管でしたが、こちらは厚生労働省の主管です。総務省あたりが持っててもよさそうですが、まぁ出生とか死亡とか言われれば確かに厚生労働省な気がします。

この資料、文章もありますがメインはカラーの図表になっているので、特に何も思わずにペラペラ眺めているだけでもなるほどそんなもんか的な感覚が得られます。

人口ピラミッド

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引用:我が国の人口動態 平成30年版(p.6)

日本の人口構造を理解する場合はまずこの人口ピラミッドのイメージから入ることになるでしょう。小/中学校あたりの社会でも「つぼ型」などとしてイメージある方も多いと思います。

全体を概観するといくつかの山が見えますが、次に出てくるベビーブームに連動した人口スパイクとなっています。

出生の動き

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引用:我が国の人口動態 平成30年版(p.9)

明治終盤から現在までの出生データがまとまっています。間ですっぽり抜けているのは戦争の頃で、終戦後に第一次ベビーブームが訪れたことがよくわかります。

昭和41年に鋭くへこんでいますが、これは60年に1度の丙午(ひのえうま)にあたる年で、「丙午生まれの女性は気性が激しい」といった出生に関する迷信がこの一時的な激減を生んだらしいです。
ちなみに60年に1度なので次は2026年ですが、さてどうなるでしょうね。マスコミが報じなければ何も怒らない気がしますがはてさて。

全体を見てわかるように、出生数は第二次ベビーブーム以降、減少を続けています。2016年にはついに出生数で100万を割ったとしてニュースにもなりましたね。

自然増減

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引用:我が国の人口動態 平成30年版(p.26)

出生から死亡を差し引きすると増減が出ますが、この通り日本は2005年くらいから人口減少に差し掛かっています。
グラフを一見して分かる通り、増加に転じるのは難しそうですね。

 

日本の将来推計人口 平成29年版

それでは将来人口の話に入っていきます。こちらは国立社会保障・人口問題研究所というところが出している調査結果です。400ページ超えでクラクラします。

とても有名な組織なので日本の将来人口に言及する場合、まずここのデータを参照するでしょうね。もしここのデータを使っていないなら、その理由を聞いてみたいレベルです。

一般的な取り扱いとして「人口予測は様々な統計予測において、かなり高精度に予測できるもののひとつ」みたいな言い方をされることがあります。とはいえ、調べてみたらこんな疑義もあったので、実際のところどうなんでしょうね。

では内容を見てみましょう。パラパラーっとめくって目に留まったグラフとその解説文を見るくらいです。

総人口の推移

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引用:日本の将来推計人口 平成29年版(p.2)

取りまとめの基準となった2015年時点で約1.27億人であった人口が、おおよそ2050年代に1億人を割り込むと予測されています。

実績の増減推移を見るだけでも「増加に転じなさそう」というのは丸わかりでしたが、ちゃんと予測統計してもやはりこうなるということですね。

人口ピラミッドの変化

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引用:日本の将来推計人口 平成29年版(p.6)

そうして減少の一途を辿る日本人口ですが、内訳としての人口ピラミッドはこのように動きます。

特徴的であった人口スパイクはベビーブームによって生じますが、これは単に「出生数が減り続ける」ケースでの予測ですね。さてこれからの時代、再びベビーブームは訪れるのでしょうか。
(まぁ、現役世代の実質所得が減り続けていることを考えると基本的には厳しいんでしょうね)

2065年といえば、2020年現在で30歳そこそこの僕ですら70代後半ということになりますが、なかなかピンときませんね。

おまけ:日本の地域別将来推計人口 平成30年版

同じく国立社会保障・人口問題研究所が公表している予測ですが、日本の都道府県ごとにどんな推移をするのか予測した内容です。

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引用:日本の地域別将来推計人口 平成30年版(p.58)

右下が2040年代の日本で、2015年の人口を基準にしてどう増減しているかをまとめた図です。47都道府県のうち、東京を除く全てが減少するとの予測です。

日本全体が人口減少するのでどんどん色が濃く(=減少幅が大きく)なっていきますが、東北地方の人口減少は深刻な見通しですね。
2045年の数字が具体的にどれくらいかというと、対2015年で

  1. 秋田県 -41.2%(60万人)
  2. 青森県 -37.1%(82万人)
  3. 山形県 -31.7%(77万人)

と、30%以上の減少が見込まれています。

こういった人口減少を前に、「どうやって都市機能を維持するか」ということを考えているのがまさに前回の国土グランドデザイン2050だったりするので、人口動態はやはり色々なことを考える上での土台になる重要なデータですね。

World Population Prospects 2019

さてあとは世界に目を向けてみます。

世界統計となればもはや日本の仕事ではないので、当然それなりの組織ってことになりますが、国連がそういうのをやってるので見てみます。

世界人口の推移

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World Population Prospects 2019から作成

調査結果の中では、国別/男女別/年齢別など様々な切り口で予測がされていますが、その中から大まかに世界の地域別推移をグラフ化してみました。

2019年時点で約77億人の人口とされていますが、基本的に右肩上がりを続け、2050年代に100億人を突破すると予測されています。
「一方その頃、日本は1億人を割り込んでいた...」ってのとは対称的な世界動向です。

内訳としては、2040年頃までは中国やインドを有するアジアが世界人口を牽引しますが、それ以降は伸びが鈍化、減少に転じてアフリカだけが伸びていきます。
グラフ右端は2100年ですが、この流れでいけばアフリカがアジアを逆転するのはすぐそこなんでしょうね。2112年にドラえもんが誕生する頃にはアフリカが世界一の人口エリアになっていることでしょう。

国別人口増減率

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引用:World Population Prospects 2019(Maps, Population Growth Rateより)

2050年で世界の人口推移を切り取ったとき、国別の人口増減はこんな感じになります。
察しはつくと思いますが、緑が増加で、黄色が減少です。その中間の黄土色は微増にあたります。

日本が減少にあることは分かっているとしても、中国やブラジルが減少に転じているのは興味深いですね。
いわゆる先進国で微増を守っているのがアメリカやカナダ、オーストラリア、イギリスあたりみたいです。大英帝国の遺伝子ってすごいんだ感あります(適当)

 

まとめ

このあたりは割と知ってた内容なので、調べた結果としての驚きはそこまで大きくなかったですが、こういう基本的なものの見方は定期的にアップデートしていきたいところです。

日本の予測をこうやって色々見てみると、人口動態として明るいニュースにはならず、少しさみしいような、そんな気持ちがあります。
出生数の減少や人口減少が叫ばれて20年30年ってところだと思いますが、この動きって本当にもう止められないんですかね。政治の限界なのか、政治の良し悪しなのか、あるいはもっと別の何かとか、誰かの失策を非難したいわけではなく、単純に力の及ぶところなのかどうか知りたい気がしました。

世界人口の予測を見ると、やはり「21世紀はアフリカの時代」というのがよくわかるので、これは新興国株か...?と思わなくもないですが、2050年になってもアメリカは人口微増を守っているのでなんだかんだ米国株が強いんじゃね?って気もします。

まぁ、そんなことを考えるまでもなく、

  • 世界人口が伸びる
  • つまり世界の富は拡大する
  • つまりオールカントリーで投資すればとりあえずOK

的な発想でオルカン買いまくっていればいいような気もします。(ただし今のところは米国株派)

この連載の中でこの思想も変わっていくのでしょうか。ではまた。

 

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Oculus Quest 2が起動しなくなった話

タイトルはこう書いたものの、ちゃんと今では元気に動いています。

とはいえマジでやらかしたかと焦ったので、後世のためにこれを残します。

Oculus Quest 2と戯れる日々

これまで2回ほど記事にしましたが、最近Oculus Quest 2で楽しく遊んでます。

Beat Saberで遊んでるよって記事。

こっちは買いたての頃。VRという新しいデバイスへの興奮だけで書いた。

さて、そんな風に戯れていましたが、前回記事でこんな風に書いていました。

最近は気温が上がってきたのでなおさらですが、Oculus Quest 2と接している部分に汗が結構出るのでそのあたりの対策をせねば...と考えているところ。

まぁ、対策と言ってもこんな感じのフェイスマスクをつけるしかないんですが。
ここまでくると完全に目出し帽をかぶった変質者である。 

要するに汗対策です。

元々僕は汗っかきなのでわかってはいたんですが、日に日に春の陽気が訪れる中で、いよいよ無視できなくなってきたので、アイテムを求めることにしました。

ちなみにフェイスマスクはやめました。暑そうだし(直球)

 

シリコンカバー先生の力を借りよう

イメージ的には前回日記で書いたようなフェイスマスクだったんですが、

  • これも結局布なので濡れる(独立して選択はできるが...)
  • どうみても暑そうなので余計に汗が出そう
  • 見た目に怪しい
  • 見た目に怪しい

という理由であまり選びたくないような気がしてきました。

当然ながら似たような悩みを持っている人はいるようで、

なんて記事を参考にしながら、「シリコンカバー、いいじゃん」なんて結論に至りました。

実際に買ったのはこちら。接眼部をスポッと覆う感じのアイテム。

買った時点では1277円とお手頃。Amazonレビューを見る限りは大丈夫そうだけど、金ドブだったとしてもまだ立ち直れる価格。

満を持して装着、しかし...

注文から2日で難なく到着し、意気揚々と装着。説明書も何もない、ジップロックみたいなチャック付きポリ袋に入っただけの存在でしたが、簡単につけられました。

 

それでは汗を気にしなくてもよくなった、新生Oculus Quest 2でレッツプレイ。

 

...

 

... ... ...

 

あ、あれ...???

 

起動しませんね😇😇😇

 

装着して電源ONすると、たしかにディスプレイのバックライトが入って反応があるものの、何も表示されない状態で動きがない状態に。
電源ボタンをポチると、通常のスリープみたく、一応スリープ音だけはする。あ、生きてるんだ、的な。けど、そこから復帰させてもバックライトがつくだけでそれ以上の反応なし。

うーむ。

 

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一応パソコンの先生キャラを自認しているので、焦らず慌てず、トラブルシューティングしようではありませんか。

落ち着いて再起動を試みるとか、満充電まで充電し直すとか、はたまたUSB接続からADBシェルを起動してデバッグログを眺めるとか。

 

うん、全部だめだね。症状変わらず。

まだあわてるような時間じゃない - shiroxuma's blog

最悪買い直し、なんてこともイメージしながら腰を据えてググることにしました。

(SideQuestなんかも入れててもはや保証とかいうレベルではないような気もしていた)

お前、お前だったのか...

冒頭でも書いた通り、トラブルは解決しました。

結論から言って、シリコンカバーが原因だったようです。おそらくこれと同じ現象。

こちらの記事の表現を引用しますが、

Oculus Quest 2の内側をよく見ると、IPD調整のできるところの下に、センサーっぽいのがあります。そして、そのセンサーに丁度被る形でシリコンカバーのゆるみが来ています。

Oculus Questが暗くなったままスリープモードを行ったり来たりする場合、もしかしたら内部のセンサーが干渉している等の原因があるかもしれません。 Oculus Questの不具合がまさかシリコンカバーにあるとは思いませんでした。

という感じで、シリコンカバーが内部センサーに干渉し、「ずっとスリープモード」の状態になってしまったために、見かけ上動かなくなったような見え方をしていたということのようでした。

この方も、原因を探る過程でやっていますが、シリコンカバーを外した状態で素直に起動すればおそらくクロです。僕も試しにシリコンカバーを外して起動してみたところ、すんなり動きました。
確かにパソコンの先生はこういう物理的なトラブルに弱いと田舎のおばあちゃんに聞いたことがあります。

 

で、対策もこの記事と同じで、「干渉しているであろう、おでこ部分の一部を切り取る」ことで無事シリコンカバー装着状態でも起動するようになりました。切り取りの程度はモノにもよると思うので、うまく工夫すればよいと思います。

おまけ:Oculus Quest 2用ヘッドバンド

シリコンカバーとセットで、ヘッドバンドも買ってました。

Beat Saberをやる場合には本体の安定性は結構大事なので、こいつで後頭部の安定性を補強しました。

補強といえば純正のEliteストラップなんだと思いますが、やはり少し高い(7000円くらい)ので、こちらもとりあえず1400円程度のこいつを試してみることにしてます。

もしかするとEliteストラップのほうが断然快適なのかもしれませんが、これでも十分快適性が上がったので満足してます。というか純正でもこれくらいのヘッドパッドつければよかったのに...と思わなくもない。
(初代Questから意図的にショボくなっているので涙ぐましいコストカット策であろうとは推察する)

 

まとめ

軽い気持ちでシリコンカバーをOculus Quest 2に装着するとえらいことになる。

この記事が迷える子羊の力にならんことを願って。ではまた。

 

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